ごあいさつ

 こんにちは。
 園長の阿純章(おか じゅんしょう)と申します。幼稚園の母体となる円融寺の住職もつとめております。
 
 時々、子どもたちの保護者が集まる時にこんな質問をすることがあります。
 
 「みなさんのお子さんが誕生したばかりの時のことを思い出してみてください。ただ寝転がってオギャーオギャーと泣いている姿を見て、ああ、人間としてまだ不完全だな、泣いてばかりで言葉も話せないし、立つこともできないし…そんなふうに思いましたか」と。
 
 もちろん誰一人として自分の子どもをそんなふうに思う親はいません。そのうちハイハイをしだし、よちよち歩くようになりますが、そのどの局面をみても、精いっぱい全力で生きている姿はそのままで何の非の打ち所もない完璧な赤ちゃんです。それなのにどういう訳か、いつしか子どものありのままを認めずに、「まだまだダメ、なんでこうなの」と、あれこれ欠点ばかりが目に付いてしまうことがあります。でも、目の前の子どもはいつだってそのままで完璧な存在です。
 
 私たちは人生をよく道に譬えますが、その道のりを漠然と矢印のような直線軸でとらえます。そう考えてしまうと、今立っているところは目的地までの途中に過ぎず、全体からすればとるに足りない小さな一歩でしかありません。子どもの人生にもそうやって一本の線をひいてしまうと、「こうしてはいられない」と不安や焦りを感じてしまいます。でも、私たちの人生のどこにそんな線が引いてあるのでしょうか?少なくとも、子どもはそんな線の上を歩いて生きていません。
 
 仏教では仏さまの完璧な世界を円で譬えることがあります。その世界はどこにあるかというと、お月さまを眺めるみたいにはるか遠くにあるのではありません。私たちが今立っているこの場所がすでに円の世界なのです。すべての人々、あらゆる存在が円の上にあるのです。そうであれば、ゴールである仏さまの世界はいつでも私たちの足元にあります。どこか遠くに探しに行く必要はありません。誰が後でも先でもありません。立っているところはそれぞれ違っていても、みんなが平等に完璧な一歩を踏んで生きているのです。お寺の名前である「円融」(円く融け合う)も、まさにそんな世界を意味しています。
 
 子どもたち自身はもちろん意識しているわけではありませんが、仏さまの円の世界の中で日々楽しく完璧な自分を生きているように思います。自分は駄目な人間だとか、生きるのが不安だなんて思う子はいません。過去を引きずることも明日を心配することも、他人の目を気にすることもなく、元気いっぱい自信をもって今いるところにしっかりと足をおろしています。

 

円融寺幼稚園では、そんな子どもたちの一歩一歩を大切にしています。

保育方針

円融寺幼稚園の【教育理念】は、「明るく、正しく、仲よく」です。
毎朝子どもたちがあつまると、みんなでそろって仏さまに「いつもニコニコ明るく過ごします。いつでも正しいことをいたします。だれとでも仲よくいたします」という誓いのことばをお唱えします。
こうして仏さまとお約束することで、目に見えない大きな存在に思いを寄せ、豊かな心をはぐくむのです。
仏さまは私たちと別世界のはるか彼方にいる訳ではありません。みんなで誓いを立てて、実行してみようと心に思うとき、そこにはいつも仏さまが一緒にいらっしゃいます。誓いのことばは、一人ひとりの心の中にある崇高なものに気づかせてくれる大切なことばです。

「明るく、正しく、仲良く」というのは、言葉としては単純です。しかしこの三つは人間が人間として人生を豊かに生きるための土台となる大切な言葉だと考えています。


【保育方針】
お寺の境内という広大で自然豊かな環境の中で、集団生活を通じて他者と関わり合いながら、様々なことを体験し、自立の精神、創造力、表現力、行動力、コミュニケーション力等を養い、心身ともに健全な生活と幸福で心豊かな人生を送るための基盤を築くことができよう保育につとめます。

子どもには子どもの考えがあり、子どものやりたいことがあります。
子どもの世界に対して一方的に干渉するのではなく、子ども自らの好奇心に従って興味や関心のあることに本気に取り組むことのできる環境を大切にし、自己肯定感と自己効力感を味わいながら、自分の中にある素晴らしさに気づき、さらにそれを伸ばしていくための助力をいたします。

  • “どんなときも自分を信じて前に進むこと” 

    大人だって悲しくて泣くこともあれば、人に嫌なことをされたら怒ることもあります。子どもならなおさらです。いつも明るくなんてできないと思うでしょう。お天気だって晴れの日ばかりではありません。雨が降ったり風が吹いたり、嵐のように大荒れになることもあります。でも雲の上はどうでしょう。いつだって太陽の光を浴びて青空が広がっています。しかもそこは雲の下の世界よりもはるかに広大です。
    心も同じように、いつも明るく輝いている大きな世界があって、どんなことがあっても自分を支えてくれているのではないでしょうか。子どもたちにも様々な経験や葛藤を通じて、心の中にいつも大きく広がっている青空を見つけてもらいたいと考えています。

  • “自分の力でより善い道を切り開くこと”

    正しさは人から押し付けるものではありません。まずは自分の頭で考え、他者と関わり合いながら見出していくものです。それはなかなか難しいことです。そもそもなにが正しいかという答えが最初から決まっているわけではないからです。時には間違ったり、失敗したりすることもあるでしょう。でも、それも正しさを求める道のりだと思えば、すべては無駄ではありません。
    「正」という字は「正しさ」というほかに「正直さ」も意味します。人の目や周囲の評価に振り回されず、自分自身の正直な気持ちを大切にして正しさを追求する力を育んでもらいたいと考えています。

  • “同調性ではなく、協調性を養うこと”

    人間だれだって時には誰かとぶつかり合うことがあります。どうしても気が合わない人もいます。「仲よく」といっても、我慢しながら誰とでも仲よくしなければならないということではありません。
    この世に同じ人はだれ一人いません。自分と同じ顔の人はいないし、同じ心を持った人もいません。それなのにみんなと同じようにしなさい、同じように考えなさいというのは、同調性であって協調性ではありません。
    集団生活の中で他者との関りを通じ、自分と同じように他の人にも心があり、それぞれ考えること、やりたいことが違うのだということを知って、お互いの存在を認め合い、助け合う思いやりの心をもつことで協調性を身につけてもらいたいと考えています。

円融寺幼稚園で大切にしている《12の原則》

  • ① 何事もとことんやってみよう
  • ② 目の前のことに真剣になって、がむしゃらになろう
  • ③ 自分のこころの中の“なに”“なぜ”を大切にしよう
  • ④ 間違っても失敗してもいいから、挑戦してみよう
  • ⑤ 自分のアタマと手をつかって考えよう
  • ⑥ 自分の“やりたい”を見つけて、実現してみよう
  • ⑦ 面白いと感じたら、はりきって参加しよう
  • ⑧ それぞれの得意を活かして、力を合わせよう
  • ⑨ 問題にぶつかったら、子どもと子どもで解決してみよう
  • ⑩ 一人ひとりが主人公になろう 
  • ⑪ 目に見えないものをいっぱい想像してみよう
  • ⑫ あせったらひとまず深呼吸しよう
 

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